今までできていたことができなくなったり、
必要以上に抱っこをせがんだり、
わがままを言って泣き止まなくなったり。
「赤ちゃん返り」とは、子どもが赤ちゃんに戻ったような行動を取ることです。
引っ越し、入園、進級など、環境が変わった時に起こることもありますが、
最も多いのは弟・妹ができた時です。
下の子のお世話で、ただでさえ時間や心に余裕が無いのに、上の子まで手がかかるようになるのは大変ですよね。
そこで今回は、下の子ができた時の赤ちゃん返りの原因と対処法についてお伝えします。
弟・妹の誕生は「人生最大の事件」
きょうだいができると、上の子の生活環境は大きく変わってしまいます。
これまでの人生で最大の事件なのです。
2歳〜3歳では、まだ「弟・妹」の存在を具体的に把握できません。
心の中は、このような不安でいっぱいになっているのかもしれません。
ママのおなかの中には自分の「きょうだい」がいるらしいけど、見えないし触れない。
おなかが膨らんでいるけど、大丈夫なの?
前は公園で一緒にかけっこしてくれたのに、最近はちっとも走ってくれない。
おなかがしぼんだら、今度は変なものを抱っこして、自分は抱っこしてもらえない。
変なものにニコニコ嬉しそうにして、自分を見てくれない。
いっつも「ちょっと待ってね」って言われる。
今日も抱っこしてもらえないのかな。
4歳~5歳になると、「弟・妹」の存在は理解でき、本人も誕生を楽しみにしています。
しかし、出産後に以前との変化を感じ、不安に思い始めます。
赤ちゃんが生まれてから、ママはお世話に忙しそう。
前みたいに話を聞いてくれない。
前みたいに遊んでくれない。
前みたいに絵本を読んでくれない。
呼んでも「ちょっと待って」ばっかり。
ちっともこっちを見てくれない。
寂しいな。
不安や寂しさで、ママの気を引くために「赤ちゃん返り」をするのです。
上の子への変わらぬ愛情を伝えることで、赤ちゃん返りは改善していきます。
変わらず「大好き」であることを伝える
子どもは「言葉」より、「表情」や「態度」に敏感です。
上の子に接する時は、今まで以上に目を合わせ、しっかりと体を向けて笑顔を見せましょう。
バタバタしていると、何かをしながら上の子に接してしまいがちですが、
これではせっかく伝えようとしている上の子への愛情が伝わりにくくなります。
例えば、キッチンで片付けをしている時、上の子が「ママ、見て~」とお絵かきしたものを持ってきたとしましょう。
「下の子がおとなしくしているうちに片付けてしまいたい」と思うかもしれませんが、そこは手を止めます。
絵を見て「上手だね!」「よく描けてるね!」などとほめてあげましょう。
でも、あまり長く付き合うことはできないと思いますので、
「絵を見せてくれてありがとう。ママ、元気が出たよ。残りのお皿も洗っちゃっていいかな?」と尋ねてみます。
短時間でもしっかり向き合うと、上の子はだだをこねることなくあっさりと解放してくれることが多いようです。
また、お風呂などで上の子と二人きりになれる時間をつくり、
「自分との時間も大事にしてもらえている」と感じさせてあげましょう。
下の子ができても、自分が大事にされていることがわかると、愛情を必要以上に確かめなくてもよくなるため、赤ちゃん返りがなくなっていきます。
子どもの問題行動は、親へのメッセージが込められています。
前回の教えて!先生98「問題行動が収まらない」もぜひご覧ください。
上の子への変わらぬ愛情をしっかり伝えれば、揺るぎない自己肯定感を身につけることができます。
心が安定すると、まわりを気遣う余裕ができ、思いやりの心も生まれ、下の子に優しく接する素敵なお兄ちゃん・お姉ちゃんになっていきます。