「子どもがやたらと怒りっぽくなった」
「話しかけても素直に返事をしない」
「宿題をなかなかしようとしない」
イライラして反抗的。
これまでの素直なわが子がまるで変身してしまったかのようで・・・。
小学校高学年になる頃、こんなわが子との接し方が分からず、悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この時期の変化は「9歳の壁」「10歳の壁」「小4の壁」などと呼ばれ、誰にでも訪れる成長過程です。
子どもの状況を理解して、うまく乗り越えましょう。
イライラは戸惑いの現れ
9歳以降、小学校高学年になる頃から、発達の個人差が顕著になります。
この時期の子どもは自分に対して肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなります。
また、学校の勉強が難しくなり、学力の面でも個人差が開き始めます。
その一方で、この時期の子どもたちは「ギャングエイジ」と呼ばれ、
家族より友だちとの集団行動を優先し始めます。
自分たちでルールを決めたり、そのルールを守ることを大切にする一方で、
性格によっては、同調してばかりで自分の意見を言えずにいる子もいます。
このように小学校高学年になると、身体的にも、学習面でも、環境的にも、大きな変化が一気に起こるため、子どもたちは戸惑っているのです。
その反動でイライラしたり、反抗したりと、不安定な心を家族にぶつけてしまうのです。
この時期の子どもの特徴・傾向として、受け止めましょう。
さらりとほめる
この時期の子どもは、周囲と自分を比べて勉強や身体の発達などで差を感じ、自分を否定的に見がちです。
そこで大切なのが「ほめる」こと。
一番身近にいる親だからこそ気づけるちょっとした「ほめポイント」を、具体的な言葉で伝え続けます。
ただし、相手はもう幼児ではありません。
「わ~、◯◯できてすごいね~」といったオーバーなほめ言葉は恥ずかしがって素直に受け入れてくれません。
「あら、やるじゃない」くらいさらりと伝えた方が受け入れやすいでしょう。
お手伝いをした後に
「助かった、ありがとう」と感謝の言葉を伝えるのも効果的です。
毎日、身近な立場の人からほめ続けられることで、自己肯定感を育むことができるのです。
お互いが気持ちよく過ごすためのルール作り
親も人間ですから、イライラをぶつけられたり、反抗的な態度を取られたりすれば嫌になります。
そこで、家庭でのルールを作って、お互いが気持ちよく過ごせる環境を目指しましょう。
まずは、子どもにどうしてほしいかを尋ねてください。
おそらく「ほっといてほしい」と言われるでしょう。
そこは想定内として絶対に否定せず、「ほっといてほしいんだね」と主張を受け止めます。
その上で、家庭はお互いが気持ちよく過ごせる場であってほしいこと、そのために必要なルールがないかを話し合います。
この年齢は、少しずつ客観的な思考ができるようになっています。
うまく表現できなくても、気持ちを吐き出す場を設けることで、思考する経験を積み、自分なりの意見を構築するコツをつかんでいきます。
また、お互いの意見を交換することで、コミュニケーション力を高め、これからの人間関係を豊かにする土台を作っていけるのです。
起きる時間・寝る時間など、家族と共有が必要な「時間に関するルール」や、
ゲームの時間など、「自己管理のためのルール」を作り、
紙に書いて机や壁に貼るなど、目に見えるところに掲げておきましょう。
「9歳の壁」は、子どもから大人に成長するステップの一段目です。
急な心身の変化に、戸惑っているのは子ども自身なのです。
また、このような傾向が出るのは、順調に成長している証。
親が将来、子どもにどのような姿でいてほしいかをしっかりとイメージしながら、先を見据えて子どもに接することで、親子で乗り越えられます。