子どもが悪いことをしても、叱らない保護者を見かけますが、
「ダメなことはダメ」と教えることは、とても大切なことです。
一方、ちゃんと叱っておかないと、わがままな子や意地悪な子になってしまうと心配している方もいれば、いつも叱ってばかりで子どもがかわいそうではと心配している方もいます。
「叱る」って、実はとても難しいことですよね。
そこで今回は、「上手な叱り方」について考えてみたいと思います。
目的は「しつけ」
そもそも、なぜ子どもを叱らなければならないのでしょう?
叱ることの目的は「しつけ」です。
しつけとは、規律や礼儀作法などに合った立ち振る舞いができるように、訓練すること。
つまり、何が良くて何が悪いかを、子どもにわからせることです。
相手に優しくすること、正直でいること、仲良くすることは良いこと。
相手を傷つけること、嘘をつくこと、わがままは悪いこと。
どのような場面で、どのような行動が求められるかは、日頃から教えておかなければいけません。
「おもちゃはそっと渡そう」
「◯時になったら◯◯の時間だね」など。
幼児には、伝えたいテーマを扱った絵本を読み聞かせるのも良い方法です。
絵本は他人事として聞けるので、子どもはストレスなく学ぶことができます。
叱るのは、子どもが正しい道からそれたとき。
叱ることで、子どもを正しい道に戻して、善悪の判断力を身につけさせるのです。
「怒る」と「叱る」の違い
子どもが何度も教えたことができない時、親も人間ですからイライラするのは当たり前です。
「怒る」のは、そのイライラを一時的に収めるための感情の処理です。
子どもは、親のことをよく見ています。
頻繁に怒っていると、子どもは親の顔色をうかがうようになり、親が怒るか怒らないかを善悪の判断と取り違えてしまいます。
叱る時、感情的になってはいけません。
向かい合って、目の高さを子どもに合わせます。
この時にイライラを鎮め、心を整えましょう。
声の高さは、いつもより少し低め。
話すスピードは、少しゆっくり。
子どもは「ふつうのおしゃべりとは違うぞ、ただごとではないぞ」という雰囲気を感じ取り、話を聞く心の準備をするのです。
叱り方のコツ
子どもへの愛情は、叱り方のコツをつかめばしっかり伝わります。
以下の5つのコツをつかんで、毅然とした態度で叱りましょう。
①タイミング
好ましくない行為をしたときに、できるだけその場で叱ります。
あとから「あのときは・・・」と叱っても、子どもにとっては遠い過去のこと。
心には響きにくくなってしまいます。
②内容
良くない行為そのものを指摘し、子どもが理解しやすい言葉で端的に伝えます。
「おもちゃを投げていいのかな?」「今、遊ぶ時間かな?」など。
叱られる原因になったことを明確にして、どのようにすれば良かったかを肯定的な言葉で伝えます。
「おもちゃはそっと渡そうね」「今は寝る時間だね」など。
どうすれば良いかを子どもに考えさせて気づかせる言葉がけも良いでしょう。
「今◯時だね~。何する時間だっけ?」など。
③長さ
叱るのは1分以内にとどめましょう。
長々と話しても、子どもは聞いていません。
また、親も伝えたかったことがぶれてしまいます。
④子どもが訴えてきたら
頭ごなしに叱ってはいけません。
子どもが何か訴えてきたら、言い分を聞きましょう。
相づちを打ちながら子どもの言葉をオウム返しして、子どもの主張を受け止めます。
「おもちゃを早く渡したかったんだね」「今やろうと思ったところだったんだね」など。
主張を受け止めてもらえると、親の話にも耳を傾ける心の余裕ができます。
すると、親が伝えたいことが子どもに伝わりやすくなるのです。
⑤アフターフォロー
叱ったことを子どもが改善したら、しっかりと褒めます。
これは忘れがちなことですが、とても大切なポイントです。
積極的に実践しましょう。
してはいけないこと
叱る時に、人格を否定するような言葉は使ってはいけません。
「いつも遅いんだから」「ダメな子ね」「あなたはできていない」など。
また、過去のことを持ち出すのも良くありません。
くどくど言ったところで、子どもは聞いていません。
叱るのは、子どものことを大切に思っているから。
正しく叱ることで、親子の信頼関係はさらに深まり、子どもの自己コントロール力が育まれます。
気がつけば、子どもがとても頼もしい存在になっているかもしれません(^^)