「上の子が怒って、下の子を叩いたり、泣かせたりして困っています」
きょうだいゲンカに悩んでいるパパやママから相談を受けます。
仲良く育ってほしいのに、どうしてすぐケンカになってしまうのでしょうか?
それは、上のお兄ちゃん、お姉ちゃんが感じている「寂しさ」が原因かもしれません。
弟・妹は突然現れた「敵」
パパやママ、そしておじいちゃんやおばあちゃんも含め、世話をする大人は、下の子どもに関わる時間が多くなりがちです。
お兄ちゃん・お姉ちゃんは、今まで自分だけのものだった周りの大人が、ある日突然現れた弟・妹に奪われてしまったようなもの。
つまり、下の子は「敵」なのです。
特に5歳くらいまでは、感情を上手に言葉にできません。
だから、「叩く」「つねる」などという行動で敵意をあらわにしてしまうのです。
上の子が寂しそうにしていたことはなかったか、思い出してみてください。
「お母さん、あのね・・・」と話しかけてきたのに、
「ちょっと待って」と待たせていたことはありませんか?
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ」と、
何かにつけてガマンさせていませんか?
まずは、上の子との接し方を見直してみましょう。
ガマンさせすぎ?
「お兄ちゃんだから」
「お姉ちゃんだから」
毎日のように口にしていませんか?
でも、それは本当にガマンしなければいけないことでしょうか?
例えば、弟がお兄ちゃんの使っているおもちゃをほしがったら、渡さなければならないのでしょうか?
弟にとっては、ガマンするおけいこになるかもしれません。
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だからできて当たり前」になっていませんか?
上の子だってまだ子どもです。
何かができたらほめる。
手伝ってくれたら感謝を伝える。
今からでもすぐに実践してみましょう。
上の子としっかり向き合う
お兄ちゃんやお姉ちゃんが話しかけてきたら、手を止めて目を合わせ、向き合って話を聞きましょう。
手が離せない場合は、
「2分待ってね」
「今、おむつを替えているから、終わるまで待ってね」
「◯◯の歌を歌って待っててね」
など、どのくらい待てば良いか、目安を伝えましょう。
待たせた後は、
「待っててくれて、ありがとう」と笑顔で話を聞きます。
また、おやつを渡す時は上の子に先に渡したり、
呼ぶ時は上の子の名前を先に呼ぶなど、
常に上の子を優先しましょう。
独り占めタイムをつくる
一日の中で数分でもいいので、上の子がパパやママを独り占めできる時間をつくってあげましょう。
下の子の昼寝中やお風呂の間などが良いですよ。
親も二人だけの時間を心から楽しみ、プラスの言葉をたくさん浴びせます。
「生まれてきてくれてありがとう」
「◯◯ちゃんがいてくれるだけで嬉しい」
「◯◯ちゃんのことが大好きだよ」
「いつもお手伝いしてくれてありがとう」
「弟(妹)のお世話をしてくれて助かってるよ」
「弟(妹)に優しくしてくれてありがとう」
お兄ちゃんやお姉ちゃんは、「自分は必要な存在なんだ」と気づくことができます。
ケンカのフォロー
ところで、実際にきょうだいゲンカを始めてしまったら、親はどう対処すれば良いのでしょうか?
ケンカの最中に怒っても、興奮状態の子どもの心は開きません。
少し落ち着いて話ができるようになるまで見守りましょう。
落ち着いたら、上の子の言い分を聞きます。
話している間は、「いや、そうじゃないでしょう」「でもね」などの否定はNG。
「◯◯だったんだね」「◯◯と思ったんだね」など、言葉をそのまま繰り返して、話を聞いていることを理解させます。
うまく言葉にできないときは「◯◯っていうことかな?」とフォローしてみます。
上の子の言い分を聞いたら、
「きょうだいが仲良く、笑顔で過ごしてくれると、ママやパパはとても嬉しいんだよ」と伝え、
ケンカをしないためにはどうすれば良いのかを一緒に考えてみようと誘います。
「おもちゃをとられそうな時はどうする?」
「かしてあげるから少し待ってねって言う」
「えらいね、次はそうしてみようね」
ただし、まだ幼くて気持ちを言葉にするのが難しければ、すぐにケンカが減るとは限りません。
ケンカの度にこのやり取りを繰り返すつもりで、気長に向き合いましょう。
私にも2歳違いの息子が2人います。
お兄ちゃんが5歳の頃、きょうだいケンカが激しくなり、この方法を実践しました。
それまで、怒ってばかりだったお兄ちゃんは、弟をとてもかわいがるようになり、
弟も「お兄ちゃんが一番!」「お兄ちゃんはかっこいい!」と言うようになり、効果テキメンでした。
上の子は、自分の気持ちを伝えるおけいこをしています。
下の子ともみ合いながら、人との付き合い方、コミュニケーションの取り方を学んでいます。
周りの大人の愛情あふれる応援と冷静なフォローがあれば、正しい方法を身につけ、そして、弟にも良い影響を与えますよ。
じっくり、気長に向き合いましょう!