スマートフォンは、もはや生活必需品です。
わからないことを調べたり、悩みを気軽に相談したり、同じ立場の人とSNSでつながったりと、
子育て中も手放せない便利なツールです。
その一方で、「スマホ中毒」や「スマホ脳」という言葉が注目され、悪い影響も指摘されています。
子育てに関しては「スマホ育児」という言葉も生まれています。
スマホは「育児」にとって、そして「子ども」にとって“悪いもの”なのでしょうか?
今回は、まだ言葉が出ない0歳〜1歳の子どもの育児とスマホの関係について考えてみましょう。
乳児期は決定的瞬間の連続
環境や教育が子どもの才能に大きな影響を与える時期を「感受性期」と呼び、子どもの脳は3歳をピークに、あらゆることを敏感に吸収することができます。
特に情緒面は、1歳前後に発達のピークを迎えます。
まだ反応が薄いようにも思えますが、五感への刺激を意識した働きかけが必要なのです。
例えば、おっぱいを与えている時。
赤ちゃんは「嗅覚」「味覚」「触覚」が刺激されています。
お母さんが「たくさん飲んでえらいね」などと声をかけてあげると、さらに「視覚」「聴覚」が刺激され、五感はフル稼働します。
ところが、お母さんがスマホを見ながらおっぱいをあげると、そのチャンスを逃してしまうことになります。
乳児期の成長・変化の瞬間は、予告なしに突然やってきます。
いま、人生初の寝返りをしているかもしれません。
人生初の瞬間は、息をのむほど感動的なものです。
また、赤ちゃんがどんな動きをしているかしっかり確認することで、どのような補助をしたら良いかがわかります。
例えば、寝返りの時、どちら側に回っているか。
左にばかり回るときは、右にも回るように促す必要があります。
左右の筋肉などをバランスよく育てることで、体の軸が安定し、その後のハイハイや歩行がスムーズに繋がっていくからです。
赤ちゃんの決定的瞬間を見逃さないように、少しの間スマホを置いて、しっかりと触れ合い、見守ってください。
子どもたちは五感をフル稼働して、様々なことをキャッチしようとしています。
日頃からたっぷりと、豊かな刺激をくり返し与えることで、脳の神経回路は太くしっかりと発達していくのです。
スマホ育児でぐずりは繰り返す
子どもがぐずると、ついスマホを見せておとなしくさせようとしていませんか。
このことを「スマホ育児」や「スマホ子守り」と呼ぶ人もいるようです。
場合によっては、スマホに頼ることが悪いわけではありません。
ただし、これでは、子どもの「◯◯してほしい」という感情は、満たされないままになってしまいます。
言葉がまだ出ない子どもは「◯◯してほしい」と思うと、「ぐずる」などといった、相手の注意をこちらに向ける行動で感情を伝えようとします。
そこでスマホを見せて、子どもの感情をそらしても、「◯◯してほしい」という感情は満たされないままなので、同じ状況が起きるとまたぐずります。
ぐずりは子どもが何かを訴えているサインなので、たくさん触れ合って子どもの気持ちを落ち着かせてあげましょう。
感情の処理方法を身につけるには、時間が必要です。
脳の発達には順序があり、「感情」を司る部分は、「思考力・自己コントロール力」を司る部分よりも先に形成されます。
ですから、子どもが「見ててね」「ほめてね」「一緒にいてね」などと求めてくるときには、それを見逃さずしっかりと受け止めましょう。
思考力・自己コントロール力が高い子どもは、小さい時期にたっぷりと甘えることで、脳の感情に関わる部分をしっかりと発達させていると言われています。
子どもは、全力で求めてきます。
だから、親もちょっとスマホを置いて、子どもに全力で向き合ってください。
スキンシップは心身ともに良い影響
肌のふれあいは、親子の大切なコミュニケーションです。
マッサージ、抱っこやおんぶ、手をつないで歩くなど、ふれあいの時間を大切にしてください。
スキンシップは、心にも、脳にも、良い刺激になります。
情緒面は、1歳前後に発達のピークを迎えます。
この時期にマッサージや体を使ったあそびなどをたっぷり行うことで、やる気・集中力・落ち着きに関わる神経伝達物質が脳内にバランスよく放出されて、毎日をいきいきと過ごすことができるのです。
「◯◯ちゃん、◯◯するよ」と目を見て声をかければ、視覚と聴覚が刺激されます。
また、体をしっかり動かすことでバランスの取り方を学び、体幹が鍛えられます。
将来的には、長い距離を歩いたり走ったり、長時間座っていたりしても疲れない体になるのです。
十分に時間がとれない時は、手をつないで歩くだけでも大丈夫。
歩きながら「今日は風が冷たいね~」などと言葉を交わすだけで構いません。
ちょっとしたふれあいが積み重なって、子どもは心身ともにバランスよく育っていくのです。
状況によっては、スマホに手伝ってもらっても良いのです。
子育てが「弧」育てにならないように、心配事や悩みがある時は、積極的に使いましょう。
ただ、子どもは、素直に、正直に、真剣に、気持ちをぶつけてきます。
子どもと一緒にいる時は、いつでも気持ちを受け止められるように、少しだけスマホを置いて真正面から向き合ってください。