教えて!先生19「字が汚い」

「子どもの字が汚い」と相談されることがあります。

「算数のテストで答えは合っていたのに、字が汚くて先生に伝わらず不正解になった」というお話を聞いたこともあります。

きれいな字が書けないまま成長してしまうのでは?と心配になるかもしれません。

字が汚い?
 
一般的に、文字や数字の『書き方』は、小学校に入学してから学びます。
小学校入学直後の6〜7歳は、ひらがな・カタカナ・数字を覚えてまだ間もない時期。
字が『読める』ようになったからと言って、すぐに『書ける』わけではありません。

字が『読める』ようになるまでには、絵本などで繰り返し字に触れ続けたはずです。
それと同じように、『書ける』ようになるのも、繰り返しが必要なのです。
100回、200回レベルでおけいこをすることで、やっとコツが掴めるものだと心得ましょう。

せっかく子どもががんばって書いた字を、親が「汚い」と注意してしまうと、
「字を書くことが嫌だ」という意識が子どもに残ってしまいます。

ゆったりと見守るとともに、字を書く「環境」や子どもの「運筆力」を観察し、見直してみましょう。
 

“書く環境”を整える

まずは、鉛筆・机・椅子など、字を書く“環境”を整えます。

2B・4B・6Bなど、芯が柔らかくて濃く書ける鉛筆を用意してあげましょう。
学校指定の鉛筆があれば、家庭でも同じものを使うと手になじみやすいでしょう。

また、机や椅子の高さが子どもの体に合っているかを確認しましょう。
身体が小さくて、高さが合わないときは、クッションなどで調整してあげましょう。

書く環境を整える
 

“運筆力”を高める

運筆とは文字を書く時の筆の運び方や文字の書き方のことで、運筆力は自在に鉛筆を動かす力のことです。
字が上手に書けない子は、この運筆力が未発達な場合があります。

子どもが1分程度でできそうな迷路をさせて、縦・横・斜めなど、書きたい方向に滑らかに筆を運べているかをチェックしてみましょう。

うまく鉛筆が動かせていないようであれば、字を書く前に、なぞりがきや点つなぎ、おえかきやぬりえをさせると、楽しみながら適度な筆圧で字が書けるようになります。

運筆力の向上には、鉛筆の持ち方も大切です。
文房具店などで持ち方補助グリップなどが販売されていますので、うまく活用して正しい持ち方を身に付けさせてあげましょう。

指先のトレーニングとして、ちょうちょ結びや折り紙、紙飛行機飛ばし、あやとりなど、親子で取り組んでみるのも良い方法です。
特に紙飛行機の持ち方は、鉛筆の持ち方につながるのでオススメです。

子どもが自分の体を隅々まで、思い通りに操れるようになるために、体全体を使う遊び(なわとび、ボールつき、鉄棒など)もオススメです。

運筆力
 

“書く意欲”を引き出す

子どもが字を書けたら、まずは『書こうとする姿勢』を受け入れてあげましょう。
親の目には満足いかない仕上がりでも、子どもにとっては今できる一番の仕上がりなのです。
「ひとりでこんなに書けるようになったんだ!」と成長を喜びましょう。

子どもが書いた字に、昨日より少しでも整った部分があれば、
「ここの形がいいね」
「上手になったね」
などと褒めて、子ども自身に自分の成長を気づかせて、意欲を引き出します。

「これは読みやすいから、◯◯ちゃんが言いたいことがよくわかって、お母さんはうれしいな」と伝えて、
整った字を書くことは『怒られないため』ではなく、『相手に自分の気持ちを正しく伝えるために必要なことだ』と理解させます。

書くことを通して相手に何かを伝える喜びを実感させて、子どものやる気を後押ししましょう。

意欲を引き出す
 
『字を書くこと』は自己表現の一つ。
そのための環境を整えて後押ししてあげれば、子どもは表現のスキルを磨き続けます。

その結果、「読みやすい字」「整った字」「きれいな字」が書けるようになり、なにかを書いて人に伝える喜びを知るのです。
その喜びを味わうことで、将来、文筆家になるかもしれませんよ!?
子どもの未来は無限大です♪