赤ちゃんのころから、読み聞かせは発達に素晴らしい効果をもたらします。
1歳半くらいになると、子どもが自ら本を選んで「読んで」とお願いしてくるようになります。
「色んな本を読み聞かせたいのに、いつも同じ本を選んでくるんです」
こんなご相談をされるお父さんやお母さんは、同じ本ばかり読んでいたら、語彙力や表現力が豊富にならないと思っていらっしゃるようです。
本当にそうでしょうか?
子どもと大人の視点がどれほど違うか、知っておく必要がありそうです。
子どもは「繰り返し」の天才
この絵を子どもが見たとします。
大人は「りんごだな」と思いますね。
ところが、子どもはたった1枚の絵と文から、たくさんの情報を読み取ります。
- 『りんご』という言葉
- りんごの形
- 赤い色
- 『1』という数の認識
- 『◯◯は▲▲』という表現方法
- 『~は』という助詞の使い方 など
同じ絵と文に何度も触れることで、繰り返しこれらのことを学んでいるのです。
子どもは「繰り返しの天才」なので、飽きることはありません。
一冊の本に興味を持ったら、純粋に「学びたい」と思っているだけなのです。
もしかして、飽きているのは親の方ではありませんか?
子どもは一冊の本を繰り返し読んでもらうことで、語彙力や表現力を身につけようとしているのです。
根気よく、子どものリクエストに付き合ってあげましょう。
この「繰り返す」という行動は、何度もチャレンジして体で覚えようとする本能です。
絵本だけではなく、「たかいたかい」「いないいないばあ」などの遊びや、同じ服を着たがるなどの日々の行動でも同じです。
子どもは繰り返しを心から楽しみながら、発達していくのです。
発達には「新しい刺激」も必要
とは言え、子どもの発達には「新しい刺激」も必要です。
繰り返し読みたがる本の横に、さりげなく新しい本を並べておきましょう。
「あれ~、これなにかな?」と新しい本を手に取って、興味深げに眺める姿を子どもに見せます。
子どもの反応が良さそうなら、新しい本を読み聞かせます。
新しい本には興味を示さず、いつもの本をリクエストしたら、いつもの本を読んであげてください。
このパターンを繰り返して、新しい本への移行のタイミングを見つけましょう。
「繰り返し」は、子どもの成長の過程です。
興味あることにたっぷり触れて満足すると、子どもは新たな刺激を求めて、学びの階段を自分から昇っていきます。
お気に入りの本がボロボロになるころには、大人顔負けの豊かな表現力を披露してくれているかもしれませんよ。