◯づけ子育て9「『なぜ?』ではなく『どうすれば』」

「◯づけ」とは
カウンセリングのエッセンスを利用して、親子関係をまるく円滑にする、新しいコミュニケーション法です。
EQWELチャイルドアカデミー5教室を運営するユニバーサルアカデミーの社長であり、ひげ先生と親しみを込めて呼ばれている田口圭二先生が編み出したものです。
(これまでの◯づけ子育てはこちら
 
これまで、子どもの短所ばかり見すぎないようにとお話してきましたが、改善させなくてはいけない問題点に直面することもあります。

例えば朝寝坊。
学校に通うようになったら、決められた時間に登校しなくてはいけません。

そんなとき、朝寝坊の原因について考えると思います。

「なぜ、あの子は朝起きられないんだろう?」

当たり前の疑問のように見えますが、こういう考え方はあまりオススメ出来ません。

実は、出来なかったことに対して「なぜ?」と考えると、問題にとらわれすぎて、良くなるよりも悪くなってしまうことが多いからです。
 

朝寝坊
 
「なぜ」の後ろには「◯◯出来ないんだろう?」など否定を表すコトバが続きます。
出来なかった過去を振り返っているので、返答も後ろ向きになります。

「意志が弱いから」
「生活リズムが悪いから」
「低血圧だから」など

出来ない理由を探していると、気持ちが暗くなってしまいます。

それよりも、「どうしたら?」と考えるようにしてみませんか?

「どうしたら」のあとに続くコトバは「◯◯出来るだろう?」です。
出来ることを前提にして未来・将来のことを問いかけているため、答えも前向きになります。
気持ちもグッと明るくなるでしょう。

親「今日は寝坊しちゃったね。眠かったのかな?」
子「うん、眠かった」
親「そっか。眠かったの。どうして眠かったんだろうね?」
子「夜、遅く寝たからかなぁ」
親「そっか。昨日は遅く寝たんだね。じゃあ、明日はどうしたら寝坊しないかな?」
子「早く寝ればいいと思う」
親「そうだね。じゃあ、今日は何時に寝る?」

 
「どうすれば?」と前向きに問いかけると、ほとんどの場合、子どもは自分で解決策を考え出します。
また、自分で決めたことだから守りたいという気持ちも生まれます。

子どもの自主性を育てる意味でも「◯づけ」を意識して、過去志向型から未来志向型に変わる、コトバの使い方をしましょう。

ただし、「なぜ?」という問いかけが最適なときもあります。
それは、価値観について聞くときです。

例えば、ぬいぐるみを手放さない子に「なぜ、そのぬいぐるみが好きなの?」と質問することは、子どものココロを知るキッカケになります。

「なぜ?」は、状況を見て使ってくださいね。

 
ぬいぐるみ
 

形容するときはポジティブワードで

子どもは一日中遊ぶのが仕事のようなものです。
泣いたり、走ったり、叫んだり、歌ったり・・・。
身体を目一杯使って、たくさんのことを吸収します。

ただ、度が過ぎると大変!
公共の場所で大騒ぎしたり、集団行動を乱したり、大人を大いに悩ませます。

「落ち着きがなくて困った子だわ・・・」

そう思ってしまったとき、無意識のうちに子どもに「レッテル」を貼っているかもしれません。
注意しましょう。

ここで言うレッテルとは先入観・思い込みのこと。

例えば、「水」と書いてあるペットボトルに透明な液体が入っていれば、確かめなくても中身は水だと思ってしまいます。

同様に、子どもに対して一度「落ち着きがない」とレッテルを貼ってしまうと、そう決めつけて、他の面を見なくなってしまうものなのです。

長所と短所は表裏一体です。
「落ち着きがない子」ではなく、「元気な子」というようにポジティブな捉え方をするクセをつけましょう。

子「(大声で)やったー!電車すげー!はえーっ!」
親「そうだね。とっても速いね。あれ?電車の中は静かに過ごしたい人もいるみたいだよ。少しだけ小さい声で話してみようか」
子「えー、楽しいんだもん、大きい声でお話ししたい!」
乗客「ちょっと、うるさいんですけど!」
親「すみません!うちの子、元気が良すぎるところがあって・・・。◯◯ちゃん、楽しいと大きい声でお話ししたくなるけれど、ここはどこかな?」
子「電車の中・・・」
親「そうだね、電車の中だよね。電車の中でお話しするときは、どうしたらいいのかな?」
子「小さい声で話さなきゃダメ・・・」
親「そうだね、公園に着くまでママと小さい声でお話し出来るよね」
子「うん。分かった。(小さい声で)あのね・・・」

 
元気な子どもが周りに迷惑をかけてしまうことはやむを得ないことです。
注意されたり、嫌味を言われたりすることもあるかもしれません。

そんなときはこのようにキッパリとした態度で謝ればいいのです。
必要以上に自分を責める必要はありません。

同時に、「◯づけ」で子どもの気持ちを受け止めながら、ダメなことはハッキリとダメと言うことも肝心です。
同じ物事に対して、いいと言ったりダメと言ったり、そのときの気分で態度を変えるのが一番良くありません。

子どもはそんな裏表のない親の対応をしっかりと見ていて、何がよくて何が悪いか自然に学んでいってくれるはずです。

 
電車

 

今日の◯づけポイント
  • 過去を見ずに、未来を見よう
  • 子どものことはいつでも前向きに表現する

 
次回は、子どもとの距離を縮める2ステップをお教えします!