教えて!先生113「好きなことしかしない」

  • Hくん(6歳)
    電車が大好きで、暇さえあれば駅名を覚えたり、電車を工作している
  • Hくん(小学4年生)
    神楽が大好きで、神楽舞を真似してずっと踊っている
  • Sくん(4歳)
    パズルが大好きで、他のおもちゃに目もくれずずっとパズルばかりしている

こんな子どもを持つと、
「周りのお友だちはいろいろなことに興味を持っているのに、わが子は好きなことしかしなくて大丈夫なのかしら?」と思うかもしれません。

いえいえ、大丈夫です。
その好きなことはとことんさせてください!
なぜなら子どもの能力が伸びるのは、「興味・好奇心」を感じている時だからです。

さらに、子どもがハマっていることをできるだけ続けさせてあげると、夢中になって取り組む力「夢中力」が磨かれます。
夢中力を持った子どもの方が、集中力・独創性・問題解決能力などが高くなります。
 

「夢中力」を持った子は能力が高い

元文部科学大臣補佐官で、東京大学・慶應義塾大学教授の鈴木寛氏は、「夢中力」を、文部科学省が目標とする学力の3要素に加えたいとおっしゃっています。

学力の3要素
①知識・技能
②思考力・判断力・表現力等
③学びに向かう力・人間力等

④に「夢中力」が加わる!?

「夢中力」を持った子どものほうが、そうでない子どもよりも、以下のような能力が高くなる可能性があるからです。

  • やる気が続き、集中持続力がつく
  • 創意工夫を繰り返し、独創性が磨かれる
  • 問題や課題に積極的に挑み、試行錯誤する中で問題解決力が高まる
  • やり抜く力が伸びる

親から見て好ましくないもの(物を投げる、弟・妹・ペットなどをいじめる、スマホやタブレットから離れないなど)でない限り、ハマったことはとことんやらせてあげましょう!

 
夢中力
 

時間が許す限り好きなことを

子どもが何かに集中している時は、できるだけ邪魔をしないようにしましょう。
親から見ると「どうしてそんなことがおもしろいんだろう?」と感じることも、子どもにとっては発見や驚きの連続なのです。

親が他の遊びをさせたり、こうしろああしろと指示ばかりしていると、子どもは自分で考えて工夫するチャンスを失い、知的好奇心が伸びにくくなります。

ただ、生活の中では、ごはんを食べたり、お風呂に入ったりと、夢中になっていることを中断させざるを得ない場面がありますよね。

そんな時に「もうごはんの時間だから終わり!お片付けして!」といった言葉がけをすると、子どもの行動を禁止した事になり、せっかく集中していた子どもは不機嫌になります。

こちらに気を向けさせるには、少しだけ一緒に遊んだ後に「じゃあ一緒にお片付けしようか?」と誘います。
楽しませる言葉がけでお片付けをして、「さあ、おいしいごはんを食べよう!」と食卓に誘導するのです。

この方法だと、子どもはやる気と集中力を保ったまま、次の行動に移すことができるのです。
 
夢中力
 

夢中になったことが発展していく

さて、冒頭でご紹介した電車が大好きなHくん(6歳)のその後のお話です。
暇さえあれば、駅の名前を覚えていたのですが、そのうち駅名を漢字で書くようになりました。
6歳にして、漢字をマスターするなんてすごいですよね!
電車の工作も大好きなので、手先もどんどん器用になって、見事な作品を次々に生み出しています。

そして、神楽の世界にハマったHくん(小学4年生)は、神楽舞を楽しむだけでなく、道具作りまで手がけるようになりました。
そして、将来は神楽面職人になりたいという目標ができました!

てづくりの神楽面
手作りの神楽面
 
「◯◯しかしない」
「◯◯ばっかりで飽きないのかしら」

そんな心配は無用です!
その瞬間は、まさに能力開花中。
集中力・問題解決力・やり抜く力など様々な能力は、子ども自身が好きなことをとことん楽しんでいる時に開花しているのです♪