教えて!先生102「スマホを見せてもいい?」

忙しくて手が離せない時、スマホやタブレットを持たせておくと、子どもはおとなしくしてくれますよね。

ただ、小さいうちからスマホを見せても良いのか、迷っている方もいるかもしれません。

0歳〜1歳の子どもの育児とスマホの関係については、教えて!先生67「スマホが手放せない」でお話ししました。

今回は、未就学児のスマホ習慣について考えてみたいと思います。

 
子どもにスマホを見せても良い?
 

習慣化が体の発達に影響

「片足立ちができない」「しゃがめない」「バンザイができない」「まっすぐ走れない」など、子どもの運動器機能異常(子どもロコモ)が深刻化しています。

これには、「スマホ」や「ゲーム」が大きく関わっていると言われています。

子どもは色々な運動を経験することで、体の使い方を学びます。
スマホを長時間使うことが習慣化してしまうと、外遊びなど体を動かす機会が減り、体の使い方を十分学べないまま成長してしまいます。

また、長時間同じ姿勢でいることから、肩こりや腰痛に悩む子どもが増えています。
前傾姿勢による顎の突きだし、猫背、巻き肩、骨盤の後傾などが主な原因です。

さらに、学校で骨折する子どもの割合が40年前の2倍以上に増えているというデータもあります。
太陽を浴びる時間が減って、骨の維持に必要なビタミンDを十分に体内で合成できていない可能性が指摘されています。

ゲームを始めるのは小学生になってからが多いようですが、小さい子どもでも遊べるアプリがあったり、動画を視聴したりと、未就学児にとってもスマホは身近な存在です。
ただ、長時間使うことが習慣化してしまうと、体の発達に影響を及ぼしかねません。

時間を決めるなど、親がうまくコントロールしながらスマホやタブレットを使わせるようにしましょう。

 
子どもとスマホ
 

子どもロコモのチェックを

母子健康手帳の月齢・年齢ごとの記録欄にある「運動に関する項目」を参考にして、年相応の体の使い方ができているかチェックしてみましょう。
以下は抜粋です。

  • 2歳
    走ることができるか
  • 3歳
    手を使わずにひとりで階段をのぼれるか
  • 4歳
    階段の2,3段目の高さから飛び降りるようなことをするか
  • 5歳
    でんぐり返しができるか
  • 6歳
    片足で5~10秒立っていられるか
 
もし、できないことがあれば、生活習慣を見直す必要があるでしょう。

 
階段をのぼる
 

日常生活の中で見直しを

子どもロコモの心配がある場合、まずは「座る姿勢」を見直してみましょう。
ポイントは腰骨を立てること。

椅子は、足裏が床にしっかり付く高さのものを選びます。
成長に合わせて高さが変えられる椅子は、今の体の大きさに合っているか見直しましょう。

おしりをぐっと後ろに引き、背筋をピンと伸ばします。
腰骨を前に出して、肩の力を抜くよう促します。

正しい座り方を実践することで、体に負担をかけることなく楽に座り続けることができます。
前屈みの姿勢による内臓への圧迫が軽減され、健康面にも良い影響があらわれます。
また、血流が良くなることで、学習時の集中力も持続しやすくなります。

外遊びも子どもの運動機能の発達には欠かせません。
ただ、平日は忙しくて、毎日外遊びに連れて出るのは難しいかもしれません。

そこで、日常生活の中で体を動かす場面を意識して増やしましょう。
 

日常の場面の例と効果
  • 階段を使う
    脚力がつく
    重心移動が上手になる
  • 高い位置のボタンを押したり物を取らせたりする
    背筋が伸びる
    肩甲骨の可動域が広がる
  • 自分の荷物を持たせる
    バランスのとり方が上手になる
  • 風呂洗いなどのお手伝いをさせる
    腕や足腰の筋肉が鍛えられる
 
生活の中で体を動かす経験を積むことで、子どもは自ら体の使い方を学び、運動能力を高めていきます。
幼児期に運動機能が発達すると、小学校入学以降に集中力・判断力などが上がり、学習効果も高まります。
 

荷物は自分で
 
スマホとの付き合い方を見直すことは、子どもの健全な発達につながります。
生活習慣を少しずつでも改善していくと、子どもロコモの心配もなくなります。

小さなうちは親がうまくコントロールをして、スマホやゲームはほどほどに。
体を動かす遊びで楽しみましょう!