教えて!先生89「苦手を克服させたい」

5歳〜6歳くらいになってくると

「なわとびは跳べないからしたくない」
「ひらがなは書けないから練習したくない」

など、できないことをしたがらなくなることがあります。

苦手なことや難しいことを避けたり、すぐにあきらめたりしていたら、何もできない子になってしまうのではないかと心配になりますよね。

そこで今回は、苦手なことを克服させる方法をお教えします!
 

子どもは本来『好奇心の塊』

どんな子どもでも、本来は『好奇心の塊』です。

目新しいことには興味津々。
なんでも触りたいし、なんでもやってみたい。

子どもにとって、それが「できたかどうか」は問題ではありません。

大人が「これはまだこの子には難しいだろう」と思うことも、子どもには「楽しそう」と映っているかもしれません。

それなのに、子どもが既に苦手意識を持っているとしたら、2つのパターンが考えられます。
 

パターン①
親が「結果」を求めている

大人は「やるからにはできなければいけない」と力んでしまいがちです。
「結果」を求めてしまい、一気に「ゴール」を目指そうとするのです。

親も一緒に時間を割いて、一生懸命練習させたのに「できなかった」場合、
「これだけさせたのに・・・」と不満を口にしていませんか?

親の不服そうな様子を見ると、子どもは自信をなくしてしまいます。
 

パターン②
親が「お膳立て」をしている

子どもが失敗しそうな時、先回りして手を出していませんか?
親がお膳立てばかりしていると、子どもは「どうせ自分のやりたいようにはさせてもらえないから」とだんだんやる気をなくしてしまいます。

やる気をなくした子どもは、親の指示を待つようになります。
そうすると、いざ何かをさせようとしても、自分から進んで動こうとしません。

 
やる気をなくす
 
大人が抱く「できなかったらどうしよう」という不安は、子どもにはありません。

子どもが何かに挑戦するときは、
「できなくてもいい、やってみるだけでいい」と心に余裕をもって見守ってあげてください。

そして、チャレンジのしかたや練習方法を少し変えると、子どもの意欲が増し、乗り越えられるようになります。
 

小さな「成功体験」を積ませる

子どもが何かに挑戦する時は、一気に「結果(=最終ゴール)」を目指すのではなく、
「少しずつできていく過程」を用意しましょう。

階段を一段一段昇るように、子どもがあとちょっとがんばれば達成できそうな「近いゴール」をいくつか用意するのです。
 

近いゴールの例
  • 例1)なわとび
    床に置いた縄をまたぐ(ゴール①)
    →床に置いた縄をぴょんと飛び越える(ゴール②)
    →縄を揺らしながらまたぐ(ゴール③)
    →1回飛んでみる(ゴール④)
    →回数を増やしていく(最終ゴール)
  • 例2)ひらがな書き
    紙に大きく書いた文字の上を好きな色のクレヨンでなぞる(ゴール①)
    →紙に大きく点々で書いた文字の上を好きな色のクレヨンでなぞる(ゴール②)
    →少し小さく書いた文字の上を鉛筆でなぞる(ゴール③)
    →少し小さく点々で書いた文字を鉛筆でなぞる(ゴール④)
    →少し小さく書いた文字の横に鉛筆で書く(最終ゴール)

小さな「成功体験」をたくさん積ませることで、子どもは自信をつけます。
さらに、頑張ってみようという意欲も生まれます。

できなかった時は、「今回はうまくいかなかったね。次はどうしたらうまくいくかな?」と一緒に改善策を考えます。
改善策を考えることで、問題解決力を身につけていくこともできるのです。

 
なわとび
 

「難しいこと」は「楽しいこと」

親に適切なフォローを受けながら「小さな成功体験」を積んだ子どもは、
「難しいこと」が「苦」ではなく、「楽しいこと」として捉えることができるようになります。

EQWELチャイルドアカデミー筑紫野教室のNさん(5歳)の事例をご紹介しましょう。

お母さまは新体操教室の「記録ノート」を、練習の記録を書かせるためでなく、文字書きの練習と捉え、本人に書かせているそうです。
少しハードル下げてあげているんですね。
そのため、Nさんは気負わず、楽しんでノートを書いているそうです。
その結果、自分の気持ちを自分なりにまとめて表現した「名言」が生まれました!

むずかしいことを

むずかしいことをれんしゅうするのはたのしいです。

Nさんのお母さまは、EQWELの取り組みにも「達成ノート」を自作し、Nさんのがんばりを「見える化」していらっしゃいます。

また、恥ずかしがり屋のNさんのために、お友だちが来る前にレッスンに来て、講師とお母さまの前で暗唱発表をします。
一人でうまくできそうにない時にはさりげなくフォローを入れたり、できなくても責めることなくさっと切り上げてその場を終わらせます。

その結果、Nさんはどの取り組みも投げ出すことなくチャレンジし、できなくても心乱すことなく次の取り組みに気持ちを向けることができています。

「難しいことはおもしろそう!楽しそう!」と考えられるようになれば、前向きな思考力がぐんぐん育ちます。
この先に出会うであろう様々な困難にも、立ち向かっていく「強さ」を身につけることができます。

温かく見守りながら「小さな成功体験」を積ませていけば、苦手は徐々に克服できますよ♪