4歳〜5歳くらいになると言葉でコミュニケーションがとれるようになって、お友だち同士でも言葉を交わしながら遊ぶことが多くなります。
お友だちから何かしてもらった時、わが子が『ありがとう』と言えないでいると、
「周りの子はあたりまえのように『ありがとう』と言っているのに・・・」
「うちの子だけ言えていない・・・」
「しつけができていないと思われたらどうしよう・・・」
と不安になってしまいますよね。
そう思うと焦って、
「ほら、ありがとうは?」と無理矢理にでも言わせようとしてしまうかもしれません。
でも、その場で促されて、渋々「ありがとう」と言っても、子どもの『感謝の心』は育ちません。
感謝は強制されて学ぶものではないからです。
大切なのは、子ども自らが「ありがたい」という気持ちになること。
相手から受けた言動に対して「うれしい」「助かった」などといった思いを実感できてこそ、感謝の気持ちにつながるのです。
そのためには、子ども自身が感謝したりされたりする経験を通して、実践的に学んでいくことが必要なのです。
『感謝される』体験を
小さなことで良いので、子どもが何かしてくれた時、
「ありがとう!」
「◯◯ちゃんのおかげで助かった〜」
「◯◯ちゃんに△△してもらえて、ママは嬉しいな!」
などと、少し大げさに声をかけてください。
相手の喜ぶ顔やしぐさを見たり、感謝の言葉を聞いたりすることで、自然と『感謝のしかた』を学ぶのです。
感謝される体験は、『感謝の心』を育みます。
先日、こんなことがありました。
一生懸命考えているAちゃんに、ちょっとだけヒントをあげたら、最後までがんばり抜いて、見事にパズルを完成させることができました。
「Aちゃん、よくがんばったね」と声をかけると、Aちゃんから「先生のおかげ」との返事が。
どうしてそんな言葉が言えるのかお母さまに伺うと、ご家族の間で日常的に「ありがとう」と言っておられるとのことでした。
Aちゃんは感謝される体験を積んでいるので、ごく自然に感謝の言葉を伝えることができるんですね。
私たち講師が、通室生の親子から学ばせていただいた瞬間でした。
食後にお皿を流し台まで運んでくれたとき、
大好きなおやつを少し分けてくれたとき。
『感謝』の瞬間は日常に溢れています。
ぜひ、パパ・ママから積極的に『感謝』を伝えてあげてください。
『感謝する』を見せる
感謝の仕方を学んでも、実践するのはハードルが高いものです。
いざその場面になると、恥ずかしさや緊張で、なかなか言葉が出ないのかもしれません。
そんなときは子どもに無理に言わせず、親が代わりに「ありがとう」と伝えればOK!
「子は親の背中を見て育つ」と言いますが、全くそのとおり。
親が自分のお友だちに感謝している姿を見ていると、そのうち子ども自身で感謝を口にできるようになります。
子どもに望ましい言動をとってほしいときは、「◯◯しなさい」と言葉で伝えるよりも、その行動をして見せる方が子どもには理解しやすいのです。
また、無理強いされる不安がなくなり、子どもがリラックスできるという相乗効果もあります。
感謝の心は、小さい頃から何気ないシーンの中で、無理なく身につけていくことがベストです。
「ありがとう」が自然に言える子は、たくさんのお友だちに囲まれて、豊かな人間関係を築いていくことでしょう。